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太古の記憶

 

~地球と生命の過去と真実を解き明かす~ 

  最新の科学をもとにWebコンテンツにまとめた"太古の記憶"を発信していきます

人類進化 ~言語の起源を遺跡に迫る

今回は、人類進化を言語から解明する第2弾です。

前回の更新では、言葉は、意味を文を使って表現したり、理解するものと定義しました。
そして言葉の起源は、喉の中の空間の拡大、そして20万年前の言語遺伝子の登場に
裏付けられることを記載しました。今回は、より実際の証拠として、当時の遺跡から考えてみます。

言葉の起源を示す痕跡は何処に
人類進化の歴史で、知性の痕跡が見られるのは250万年前の石器ですが、
実際に言葉を使っていたかは考えにくいです↓
(http://acmemory.blog.fc2.com/blog-date-201206.html)

言葉を使うためには、意味を考えたり理解する力が必要です。特に、抽象的な思考をしていた痕跡が見つけられれば、
その能力が備わい始めていたことを示唆できます。

そのヒントが、今から7万5千年前の南アフリカにありました。
Language_Idea

アフリカ南端にあるケープタウンから東へ約300km、スティルベイ近郊でブロンボス洞窟にて発見された、
当時人類が使用していたと思われるアクセサリーです↓
Language_Idea
(著作者: Chenshilwood at English Wikipedia)

大きさは1cm以下で、計41個が発見されています。貝殻に穴が規則的な様子で穴があいており、
また磨かれたあともあるとされています。*1
当時、このビースの穴に紐を通し、装飾品として使われていたと考えられています。

さらに、穴を開けた部分の拡大画像ですが↓、これをみると、1cm以下のビースにかなり精巧な
加工がなされていたと考えられます。
Language_Idea
(著作者: Chenshilwood at English Wikipedia)

遺跡から何が言えるか?
注目すべき点は、まず、1つ1つの貝殻を同じような大きさ、同じような形で揃え、
同様な形に揃える加工を行っている点です。

これを成すには、数や形の概念を認識し、イメージし、表現する能力が必要です。
自然界にはなくても、自分の頭の中にあるアイデアを形にできるということは、
言葉に必要な意味の理解という能力が備わっていることを示唆しています。

さらに、もう1点は、装飾品という、生きていく上では決して必要ではないアイテムである点です。
以前の時代の遺跡では、狩りの道具や肉を加工する道具など、生活に必須なものが出土していますが、
装飾品は、文化的なものです。つまり、自己を表現するという、言葉の本質に繋がると考えることができます。

やはり、言葉の起源としては、意味の理解と表現、この力が備わってきたことで、生まれた可能性がありそうです。
そして、さらに言葉の起源に関する驚くべき証拠がありました。

その昔、世界の言語は1つだった?
これは言語学の研究成果で、なんと世界中の言語は、その大元を辿っていくと一つの言語に集約される、という説です。

世界には様々な言語があり、その特徴も様々です。
この説を提唱した研究では、世界中の言語同士の違いを比較し、
関係を調査することで、世界あちこちで使われている言語がいつ、どこからやってきたのかを推定しています。*2

それによると、人類の言語は、最初は1点からスタートしており、しかもそれはアフリカに端を発っしているというのです。
この研究では、言葉を作る最小単位である音素というものを分析し、人がアフリカから出て行き、世界中へ広がって
いくにつれて、その音素のバリエーションが減ってきていることを主張しています。
アフリカ(特にサハラ以南)ではその音素が最も多く、太平洋諸島や南北アメリカ等、人類が最後の方に行き着いた
場所では音素が少ないことを突き止めています。
この研究によれば、5-7万年前にアフリカに存在した人類が話していた初期の言語が世界へ広がりながら、
変化していったとされており、このことからも、言語に必要な意味を理解し表現する力が、言語の誕生に密接に
関わっていると考えられます。
やはり、言葉の本質は、この「意味の表現と理解」に尽きるのかもしれません。

*1日経サイエンス  2005年9月号
http://www.nikkei-science.com/page/magazine/0509/symbolism.html

*2 ウォールストリートジャーナル 2011年4月15日
世界のすべての言語、アフリカの「祖語」にさかのぼる=調査
http://jp.wsj.com/public/page/0_0_WJPP_7000-222918.html



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  1. 2016/07/12(火) 21:06:10|
  2. 人類進化
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人類進化 言語の起源を示唆するものとは?

以前の更新で、現代人へ進化する段階で、学習機能と想像力の発達が見られたことを述べました。

今回は、言葉の起源を探っていきます。
人間と他の動物の違いは言葉を使う、という点です。では、サルから進化する間の、
一体どのタイミングで言葉を使うようになったのか?今回はそれをさかのぼりながら
言葉の本質に迫ってみたいと思います。

その前に、ここで取り扱う「言葉」というものをもう少し明確に定義したいと思います。
例えばサルは一応ある程度単語を習得します。しかし人間との違いは、人間は単語だけではなく、
文を理解し表現することができること、その文に意味を含めることができる点です。

この"意味"が言葉ならではの特徴だと思います。意味があるからこそ、目の前にある"モノ"だけ
でなく、例えば数字や時間の概念などを表現できたり、さらには、様々の物事をつなげて伝えたい
こと・伝えるべきことを表現できるからです。

Language_Idea
(著作者: Vector Open Stock)

ここでは、言葉の定義を、「意味を文で表現・理解できるもの、またはその能力」とします。

ではまず、書き言葉の存在が認められるのはいつでしょうか?
最古の書き言葉の証拠はメソポタミア文明、ウルクから出土した粘土板になります。(約8,000年前) *1
完璧に解読はされていないものの、その多くが家畜や穀類、土地などについての会計簿であることが
わかっています。

一方、話し言葉についてはどうでしょうか?
古代の日本でも大陸から漢字が伝わるまでは、話し言葉でコミュニケーションがされていたと考えられており、
世界でも同様に話し言葉はより古い歴史がありそうです。

状況証拠として、以下の2つの観点からどのように言語を獲得していったのかを考えてみます。
①喉の構造
②遺伝子

まず、①について、
人間は申から進化する過程で、完全な直立2足歩行が今から160万年前程に実現したと言われています。
言葉を話すためには、喉の音を共鳴させる空間が必要で、前かがみの状態だとその空間が狭くなり、
様々な発音をすることはできません。

直立2足歩行は、今から160万年前に登場したホモ・エレクトス(「直立する人」の意味)で実現したと
言われています。*2 
この段階になると、頭部も地面に対して垂直になることで、喉の場所に余裕が生まれます。
人類はこの頃から少なくとも言語を話す潜在能力を獲得しだしたと考えられます。

②遺伝子について
人間に限らず、すべての生物の設計図となるものが遺伝子です。
言語を話すのは人間だけですので、人間しか持っていない遺伝子の中に、言葉に関わる遺伝子が
あるはずです。

実際に、その遺伝子の正体と、その起源を明らかにしようという研究も行われており、最近の研究では、
どうやら言語に関わる重要な遺伝子の存在が示唆されています。

それはFOX2P遺伝子と言われる遺伝子です。この遺伝子のベースの部分は、人以外にもサルやマウスを
持っているのですが、人間の持っているFOX2P遺伝子が最新のバージョンです。

DNA
(著作者: Freepik.com)

この遺伝子があるのとないのとでは言語機能に差異があることがわかっています。
実際に、この遺伝子に欠陥があるとされる人達には言語障害が認められているためです。*3

FOX2P遺伝子の役割としては、文(文法)を理解する力を持つために必要だと考えられており、*4
言葉の使用には必要不可欠になります。

そして、人間が最新のFOX2P遺伝子を獲得したのは今から20万年前とされており、実はこれは、
現代人の起源が20万年前という点とも一致しており、非常に興味深いです。

本格的な言語の獲得はどうやら20万年前に登場した現代人のようですが、
次回の更新では人間の言語を使用するに至った実際の証拠を、残された遺跡から探ってみます。

*1出典 
世界史の窓
http://wh-win.blog.so-net.ne.jp/wh0101-010_2

*2出典
「続・人類の拡散」シリーズ 初期ホモ属~人類初の出アフリカ ホモ・エレクトス①~ - 生物史から、自然の摂理を読み解く
http://www.seibutsushi.net/blog/2011/02/1088.html

*3 出典
NPO法人 オー・ルアバウト・サイエンス・ジャパン
http://aasj.jp/news/watch/2176

*4 出典
Lai, C. S. L, Fisher, S. E., Hurst, J. A., Vargha-Khadem, F., &
Monaco, A. P. (2001). A forkhead-domain gene is mutated in a severe speech and
language disorder. Nature, 413, 519-523
  1. 2016/02/09(火) 22:15:44|
  2. 人類進化
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人類進化の最終ステージ ―想像力

前回の更新で、現世人類(20万年前誕生)と旧人(60万年前誕生)とでは
作成していた石器の進歩のスピードから学習能力に違いがあると考えられます。

では、この学習能力は何でしょうか?
当時、文明が発達していない時代ですので、当然書籍もなければそもそも文字ですら浸透していたか分からない時代です。

その中で、人間が学習して成長していくためには、自ら何が足りないかを考え、それを補うための行動・努力が不可欠だったはずです。

例えば、石器の形を持ちやすくしたり、手順を改良して量産できるようにするなど状況に応じた戦略を立てることが該当すると思います。

目的に沿って適切な戦略を考える、そのための想像力が現代人になってより発達したのではないでしょうか?だからこそ、氷河期の厳しい時代を生き抜けたのかもしれません。

人間の脳において、最も高次な機能をもつのは前頭葉です。
ここでは物事の計画を立てたり、論理的思考を司っています。

旧人と現代人の頭骨を比較すると、現代人の方が頭頂部が大きく膨らんでおり、このことからより前頭葉が発達したと考えられます。

衣服を縫うための裁縫の技術についても、現代人の遺跡からは見つかっているのに対し、
旧人の遺跡では見つかっていません。

では、前頭葉はどのように想像する力と関わっているのでしょうか?
物事をイメージするには、前頭葉は記憶を呼び起こすための信号(トップダウン信号)を流しています。
つまりこの信号によって、イメージが発生し抽象的なことを考え出したり、理解することが可能となると考えられます。

前頭葉が発達していた現代人はこのイメージを発生させるしくみがより活発に動いていたのかもしれません。
今目の前にないものをイメージすることで、生存に必要なことを考える。
そういった力が前頭葉の発達によってもたらされたのだと思います。


  1. 2012/10/14(日) 17:08:30|
  2. 人類進化
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人類進化の最終ステージ ―過去の遺跡からみる学習能力の芽生え―

今から数万年前まで、現生人類と旧人は共存していました。
しかし、約2万年前より新しい時代では、旧人の痕跡はぽつりと消え、現生人類のみが生き残りました。

なぜ、旧人が絶滅し、現代人が生き残れたのか?

それを知る手がかりを得る前に、両者の歴史をざっと見ておきます。

まず、現生人類は旧人から進化しました(下図)。


旧人分岐

旧人が誕生したのは、今から60万年前。
主に、ヨーロッパやアフリカに分布していました(ホモ・ハイデルベルゲンシス)。

その後は、旧人のままでいる系統と、現生人類へ進む系統へ別れていきます。

現生人類は、20万年前に誕生しました。
その一方で、ハイデルベルゲンシスの次世代の旧人としてネアンデルタールが誕生します。

しかし、ネアンデルタール人は2万年前に絶滅し、現生人類だけが生き残りました。

では、なぜ絶滅したのかか?
そのために両者の残した移籍を比較します。

アラビア半島・オマーン。ここで、約10万年前の現生人類の遺跡が見つかりました。

遺跡から化石の他に数多くのの石器が発見されました。

石器は、図のように三角形をしていて、用途は獲物の肉を切ったり、槍の先端につけて突き刺すのに使われました。

同時期のネアンデルタール人も同様の石器を使っていたことが発掘調査で分かっています。

mid-sekki.jpg

しかし、その後現生人類と、旧人の石器には大きな違いが現れてきます。

現生人類の石器に関しては、画像がなくてわかりにくいですが、
一言で表すと様々な用途で使えるようになります。

それまでは、ナイフのような使い方や槍に遣うことが主だったのが、
より切れ味のよい包丁や、木などに穴を開ける用途で使える石器、
あるいは、魚を釣るためのフックが作られ、狩りだけでなく生活全般に応用されるようになります。

このような変化は4万年前ぐらいに見られるようになりましたが、
一方の旧人はというと、依然として昔と変わらぬタイプの石器が使われています。

石器をどんどん改良していった現生人類に対し、旧人の石器は進歩していなかったのです。

石器は小型化し、作り方もより効率的な作り方が考案されるようになり、
より短い手間でコンパクトで、そして狩りに関してはより殺傷能力の高いものが作られるようになりました。


進歩すること―その能力のあるなしは重大な意味を持っているのではないでしょうか。

我々は常に学習のプロセスを経ます。
学校での勉強でも、あるいは仕事でも学習して進歩することは必ず経験します。
よく物事をより良くしていく上で、PDCA(計画―実行―確認―改善)サイクルなど言われますが、
まさにこのプロセスを数万年前の人類も。無意識か意識していたのか、けれども現状をより良くしていくことの意味を感じながら、改良をしていたのではないでしょうか。

次回では、石器の進歩から見られた現代人の学習する能力をヒントに、
現代人の誕生の秘密と、進化を明らかにしていきます。

  1. 2012/06/24(日) 00:20:24|
  2. 人類進化
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人類進化(7) 人類の台頭と現代人の誕生

2足歩行に始まった人類の歴史は、250万年前の遺伝子変異に伴う脳の拡大、道具や火の使用、
さらには草原地帯への進出に伴う仲間と協力・協調する経験を経たことで、知性を発達させていきました。

nou5.jpg
現在までに登場した人類の脳の大きさの変化

60万年前には、人類の脳は1300ccと、現代人のそれと(1450cc)とほぼ同じ大きさに発達します。
そしてこの頃人類は、進化した知性を用いて最初の狩りをするようになりました。

その痕跡がドイツのハイデルベルクという場所の洞窟で発見されています。
そこには、人類化石の他に、シカや馬などの大型動物を始め、中にはライオンをも餌として、捕食していた
証拠が見つかっています。
この人類は、その場所にちなんでホモ・ハイデルベルゲンシスと命名されました。
当時の人類はこの時点で食物連鎖の最上位に君臨していたと研究チームのブラスコ氏は語っています。

彼らの子孫として30万年前に登場した人類、ネアンデルタール人はさらに脳を発達させ、容量は1600ccまで
拡大します。彼らも狩りを行い、さらには死者を埋葬する儀式も行なっていたことが知られています。
また、彼らは強靭な骨格と、寒冷地に適応した体の特徴をもち、ヨーロッパに広く分布していました。

これらの人類は旧人というジャンルに分類され、60万年前からつい数万年前まで広範囲に分布していました。
旧人の分布はアフリカ、ヨーロッパ、中東、そしてアジアに広がり、この分布図を見ても一見このまま
さらに勢力を拡大し、人類は世界中に広がっていきそうに見えます。

pre_human.jpg
旧人の分布

旧人が世界中に広がっていく中、我々現代人、ホモ・サピエンスは20万年前にアフリカで誕生します。
現代人の分布ははじめは、ごくわずかに限られていましたが、やがて勢力をどんどん拡大し、人類の世界勢力
図を大きく変えていきます。

下図は2万年前時点での人類の分布を表しています。

human2.jpg


図にあるように現代人はこの時点で北米大陸を除いた全地域に進出しました。そしてその一方旧人たちは
この頃には姿を消してしまいました。絶滅したのです。

旧人が広がっていた勢力をなぜ現代人が塗り替えていったのでしょうか?
旧人といっても脳の大きさは現代人とほぼ変わらず、すでに生態系の頂点に君臨し、高度な道具を用いていました。
旧人と現代人の命運を分けたのは何だったのでしょうか。

そこには、脳の大きさや体の特徴といった外見的要素では推し量れない大きな秘密が隠されていました。

次回はいよいよこの人類進化最後の謎に迫ります。





  1. 2012/06/16(土) 18:39:57|
  2. 人類進化
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